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江戸時代の秋田の紀行家、菅江真澄は東北各地を巡り、その見聞を日記として残し、『菅江真澄遊覧記』として知られてます。
黒石にも数度訪れ、寛政10年(1898年)の秋には中野もみじ山を訪れています。
中野、温湯、沖浦の記述がみれる『遊覧記』から菅江真澄が記述した『中野もみじ山』は・・・.。 |
前文略
はるばると行って我虫の坂という処につきました。 三年の昔雪の中をよじ登って、その時から面白い処よと思っていましたが、どうして、沢山の木が皆夕日のような色に染まって、あまりの見事さに超え難く、立ち止まって眺めながら折句うたを作りました。
から人の むへもいひけむ しくれては
さかり花の かくはをよはし |
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中野村に入ると、荒川に土橋を架け渡しています。 河岸が高く、向こうには野辺断崖岩嶺小坂の木々の高いのも低いのもすべて紅葉し、落ちる水が岩を噛んで激しく流れる風情、はらはらと散る紅葉に夕陽がうつって群立つ杉の下枝などに這い掛かった蔦や散りかかった木の葉、これも紅葉したかと見て驚くばかり目にその名さえも四方に立つた立田川の紅葉さえを及ばないであろうと、ひとり言をいいながら橋を渡りました。 不動尊の御前近く、一本の紅葉の枝はわけても高麗錦を一群ひるがえしたかと見る目にもまぶしい程立派です。 拝殿にはいろうとして清冽な滝のそばで
くりいたす あさ芋のいとの色ふかく
そめて赤葉を くだすたきなみ |
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岸に立って
そめつくす もみじふかき山川の
いかにあさをの 名になかるらむ |
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この晩板留の浴舎に泊まりました。明けゆく朝の空はひどく暗いので、湯の煙かと見ると小雨がしめやかに降っています。 雨が晴れたから沖浦という山中の温泉のあたりにも美しい紅葉があると聞いたので分け入ってみると谷が深く、斧の音がカツカツと遠くに聞え、さっと吹く風に散る木の下に立って
山なみの たちもへたてて 沖浦に
ふな木こるらん もみち落り来は |
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雨が激しく降りそうな空模様なので、足早に温湯の村を左方にみているとあちらはもう雨が降っているのであろう
をちかたの 里は時雨て いくちほし
雨にぬる湯の わきていろこき |
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以下略
(『新釈菅江真澄遊覧記』からの抜粋:黒石市史より) |
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中野もみじ山
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