黒石の夏の風物詩であるねぷた祭りは、藩政時代から続く伝統的文化遺産でもあります。
イギリス人女性イザベラ・バードが紀行文『日本奥地紀行 (平凡社)』で、明治11年8月に偶然見た当時の黒石ねぷたの行列を記述してます。外国人の視点で描かれたこともあり、明治初期のねぷたの様子を知るには貴重な文章で、ねぷたの歴史編纂記事等によく引用されてます。黒石の前町生まれである平野ちゑさんという方が、幼少の頃からの生活や世相・風習等の記憶をまとめた「りんごの里」(平成2年刊)という本の中に、このねぷた行列の様子が記述されています。各種の文献資料等からはうかがい知ることができないねぷた行列の模様で、明治36年生まれの平野さんの記憶からすると明治末から大正時代の頃と思われます。現在とは異なるねぷた行列の風情や模様は、とても興味深く新鮮でもあります。平野ちゑさんとイザベラ・バードのねぷた行列の様子は数十年の歳月の隔たりはありますが、それぞれの文章を併記しました。
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